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【ラペオニアインタビュー50】「暖かな光を感じさせるライティングと、穏やかな色遣いが得意です」、テーマ「pastel+neon+nostalgia」の意味とは?イラストレーター・lemonteaさんにインタビュー



■Profile

ニックネーム:lemontea

エックス:@lemontea_star

出身:中国

職業:イラストレーター









■Art Gallery

※画像はタップするとフル画面でお楽しみいただけます


――まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いします!


「はじめまして、lemonteaと申します。現在主に日本と中国を拠点に活動しているイラストレーターです。キャラクターデザインをメインに制作しながら、多方の機関でイラスト講師も務めています。ノスタルジックでダスティーな厚塗りと、レトロな雰囲気のアニメ塗りの二通りを使い分けて作品を制作しております。暖かな光を感じさせるライティングと、穏やかな色遣いが得意です」



――絵を描き始めたのはいつ頃からでしょうか?また、美術系の学校などに通ったことはありますか?


「小さい頃からアナログで絵を描いてはいましたが、中学生の頃に板タブを手に入れてからは、独学でデジタルイラストを描いています」



「大学の専攻は文化人類学でした。美術系の学校には今まで通ったことがありません。一度は体系的に美術を学んでみたいので、現在、純粋美術の大学院を受験することを検討しています」


――これまでに参加した商業プロジェクト、及びビジネス活動歴について教えてください。


「ゲーム会社のデザイナー出身ですが、数年前にフリーランスになりました」


▲キャラクターデザイン 作品例


直近ですと、セガ×Colorful Paletteさんによるスマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』のクリスマス記念イラストや、

個人・企業所属VtuberさんのキャラクターデザインやLive2D立ち絵、MVイラスト、

Class101さんでのオンラインクラス開設や、

バンタンデザイン研究所さんでのイベント講師、

ニコニコ超会議”超絵師展 〜IFの楽曲世界展〜”への参加や、

翔泳社『WEIBO NATIVE ILLUSTRATION』への掲載等々、

幅広く活動しております。


――「pastel+neon+nostalgia」がテーマとのことですが、こちらについてお聞かせください。


「プロフィールに記載の文言をチェックしていただきありがとうございます!この文字列は、「好きなものと、自分の絵を表すもの」として、考えたものです」

「pastel: pastelは、好きな色遣いと、作品全体の雰囲気を指す言葉として入れています。自分のイラストでは良くパステルカラーを良く使うのですが、色合いだけでなく雰囲気でも、パステルという言葉が指す柔らかさや淡い雰囲気を全体に纏わせるように意識しています」



「neon: neonは、わたしの好みと制作作品のもう一面を指す言葉として入れています。グラフィックデザインやキャラデザにおいて、ロリィタ・80sデザインのような可愛いデザインだけでなく、ストリート・タクティカル系のかっこいいデザインも真逆の方向性ですが、好んでいます。頽廃的でありながら可愛さや新しさも感じるネオンサインと、そのようなネオンが映える景色も好きで、ネオンのニュアンスを感じる色合いや雰囲気を作品に盛り込むことも多いです」


「nostalgia: nostalgiaは、伝えたいイメージを指す言葉として入れています。「懐かしくて暖かい」「懐かしくてどこか寂しい」「懐かしいけれど新しい」、といった感覚に浸ることが好きで、個人制作では特に、ノスタルジックなイメージが皆さんにも伝わるよう、作品作りの際に意識することが多いです」


――それでは現在に至るまで、ご自身の嗜好に影響を与えた作品や好きなジャンルをお聞かせください!


「趣味が多岐に渡ってしまうので、ここでは音楽とファッションをメインにお話させてください!音楽では宇多田ヒカルさんの曲が大好きです。強かなのに何処か寂しそうで、苦しくても暖かい、リアルな人間の感情や経験が描かれているような気がしていて、ひとりでいる時に良く聴いています。彼女の曲をループさせながら一枚の絵を描き上げる事もとても多く、わたしの絵が宇多田ヒカルさんの曲に感化されている部分は大きいと思います」


「歌なしの音楽ですと、ヴェイパーウェイヴやチルウェイヴ、チルステップ系の曲を作業時によく聴いています。人の手によって作られた、退廃的でありながらユートピア的なノスタルジックなイメージに浸ることが幸せです。その時聴いている音のニュアンスと受け取った感覚を絵に纏わせることが多いので、こちらも当方が描くイラストに大きな影響を与えていると思います」


「ファッションに関しては、高校生の時にロリィタファッションに出逢ったことがきっかけで、大きく興味を持ち始めることになりました。奮発して購入したロリィタブランドの洋服を大事に細かく眺めていくうちに、フリルやレースがたっぷりの洋服の構造を把握でき、新規キャラクターを描く際にロリィタテイストのオリジナルデザインが描けるようになっていきました」



「大学生以降は、モード系のファッションやストリートファッションにも興味を持ち始め、「PAMEO POSE」、「Off-White」、「HERON PRESTON」、「ADER ERROR」等の洋服や小物にひとめぼれして、たくさん集めていくことになりました。その後もタクティカル・サイバーパンクファッションや量産型・地雷系ファッション等々、様々なジャンルの服に手を出し……気が付くと服をコレクションすることが趣味の、洋服オタクになっていました」


「服を集めることと観察すること、また各ジャンルの服に合うコーディネートを考えることを本人が楽しんでいるので、多様なジャンルのファッションを理解し、心から愛していることを自負しています。キャラクターデザインでは、観察を重ねた分、布の重みや構造等にリアリティを持たせながら、同時にお洒落で魅力的なデザインをつくるよう心掛けています」


――続いて、オリジナルキャラクターについてご紹介ください。


・Hydnellum peckii (ヒドネッルム・ペッキィ)


高校生の時に創作した、きのこ擬人化の女の子です。有毒・無毒問わずわたしは各種きのこが好きなので、きのこ擬人化を沢山描いてきました。

”Hydnellum peckii”は不思議なきのこで、白い漏斗型のかさをもち、かさの下面が歯状になっていますが、最も大きな特徴として、湿潤で若い子実体は、血のような赤い液体を垂れ流します。

このような特徴から、「悪魔の歯」とも呼ばれていますが、赤い液を垂れ流す姿がはかなく、悲しくも見え、薔薇と赤い宝石の髪飾りを赤い液に見立てて、白くてふわふわな女の子のデザインを起こしました。彼女は淡々としていて、常に無表情。いつの間にか、髪飾りの薔薇が増えていることがあります。


・Sana(サナ)


現在、各SNSのアイコンとして設定している子です。

名前は「サナトリウム」の最初の二文字からとっています。サナトリウムは、結核をはじめとした長期的な療養が必要な方のための療養施設という意味ですが、彼女を作ったときは自分自身疲れていたのもあり、自分含む皆の心に届く、癒される絵が必要という気持ちを込めて、名前をつけました。

無垢をコンセプトにデザインを考えたので、目と帽子のマークを除くすべてのパーツが真っ白であることが特徴ですが、シンプルだからこそ、特定のテーマを描きたい時にとても動かしやすい娘です。


・Monica(モニカ)


キャラクターデザインにこだわりを沢山詰めた、お気に入りの子です。

「かわいいものが大好きな魔女っ子」「たくさんのリボンとフリル」をコンセプトにデザインしました。

モニカは可愛いもの、お洒落とお菓子が大好きな魔女で、自分の周りのものを全て可愛く飾らないと、満足できない性格です。彼女が身に着けているアイテムは、どれもアレンジ済み。リボンたっぷりの彼女の衣装も、彼女が一つずつ縫い付けています。美しい白猫のシュクレは彼女の使い魔であり、親友です。


・Ester(エステル)


彼女は「モニカ」と対になるよう創作した子で、こちらもデザインがかなりお気に入りです。

デザインコンセプトは「タクティカルファッションを着る魔女っ子」です。

エステルは重苦しい魔女の伝統に疑問を呈しており、実際の機能性を考えて、ショートパンツを履くことを選んでいます。個性的な身なりをしているように見えて、実は真面目に考えた結果です。彼女は隠れた努力家で、魔術学校の成績はいつも優秀。使い魔は賢く勇敢なカラスのエボニーです。


――話は変わりますが、最近ハマっているものやライフスタイルはどのようなものですか?


「最近はY2Kにハマっています!自分が描く絵にY2K風味のデザイン等を取り入れていることは勿論、生活にも影響してきています……!」


「前述の通りファッションが大好きなのですが、おへそ丈の短いトップス、大き目シルエットのカーゴパンツなど、最近はY2Kらしいアイテムを気に入って着ています。原色の小物や、プラスチックのおもちゃのような指輪をコーデに取り入れることもあり、メイクアイテムも色合いから変えていきます。インテリアもその時々で入れ替えることが多いです」


「このように、何かを気に入ると、身の回りのすべてのモノや雰囲気を徹底的に揃えていって、全体的な雰囲気を楽しんでいることがとても多い気がします。Vaporwaveやサイバーパンクなどの要素も長らく好きでいるので、それらの既存の好きな要素と混ぜて楽しんでいるところもあると思います」


――ご自身が今まで描いた作品の中で1番印象深い作品(イラスト)は何ですか?そう感じたエピソードも併せてお聞かせください。


「直近で描いて良かった、と思う作品は、『Moonlit Picnic』です。こちらに登場している「ミスティ」と「サナ」はどちらもわたし自身が癒されたい時についつい描いてしまう創作キャラクターです。今年の冬は寒い日が続いていて、わたしは冬のどんよりした感じが苦手で、大分気持ちが落ち込んでいました。しかし3月付近、まだまだ寒い筈の時期に、夜の外出で春の匂いを纏った暖かい風を感じました」


「その時の安心感や、春が来ることへの期待の気持ちと喜びを込めて、春の月夜にチューリップ畑でピクニックをする愛娘のふたりを描きました。形にできただけでも満足なのですが、驚くべきことに、このイラストを発表した際にいくつか、「風を感じる明るい夜」や「暖かく、優しい月光だ」というようなコメントをいただきまして、わたしが伝えたかった温かみを、見てくださった皆さんが受け取ってくれて本当に嬉しかったです」


▲ミスティとサナ


――今後、挑戦してみたいことはなんでしょうか?また、何か告知がありましたらぜひ!


「おかげさまで、今までにも沢山素敵なお仕事の機会がありましたが、以下の内容にも挑戦したいと思っています……!」


・キャラクターデザイン…これからも色んなキャラデザを描いていきたいです。

・装画…書籍の表紙イラストに携わってみたいです。

・画集…作家として、いつか自分の画集を出したいです。

・個展…空間づくりにとことんこだわった個展をいつか開催したいです。

・リアルファッション…リアルのお洋服のデザインを手がけたいです。


――インタビューありがとうございます! 最後にファンに一言お願いします!


「絵をいつも見てくださっているみなさまへ、いつも沢山応援していただきありがとうございます!いただいた一つ一つのご感想が、普段の制作における大きな励みになっています。時代は変化していきますが、これからも変わらず、暖かく胸に残る、それでいて一癖あるイラストを描き続けていきますので、思い出した時にぜひ、わたしの絵を見にきてください!これからもどうぞよろしくお願いいたします」


 

■ライタープロフィール

ニックネーム:笹本千尋 -sasamoto chihiro-

東京都在住

ツイッター:@tiam_00 

自己紹介:2021年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後フリーでライターをしております。


 

ラ・ペオニア運営会社の株式会社ジニヤズでは、若手クリエーターたちの作品や発想、活動をインタビューを通して世界中の多くの人々に伝えることを応援しております。


多言語(日中英)翻訳と情報発信のサポート、ビジネスチャンスのクロージング斡旋も行っております。インタビューや業務提携などのご希望がある方は、お気軽に「お問い合わせ」までご連絡くださいませ。


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