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【ラペオニアインタビュー53】「世界観の形成の根本にはシュールとコメディがあったのではないかなと思っています」創作テーマ“魔法”について。イラストレーター・Spinさんにインタビュー



■Profile

ニックネーム:Spin

エックス:@hareroom1

出身:日本

職業:イラストレーター











■Art Gallery



――まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いします!


「Spin(スピン)と申します!イラストレーターです。主にモチーフメインのイラストを制作しています。お仕事の他、個人でグッズ販売をしたり、個展などの展示をたまにしています」


――絵を描き始めたのはいつ頃からでしょうか?また、美術系の学校などに通ったことはありますか?


「小さい頃から絵を描くのは好きでしたが、あくまで趣味の領域だったので進路として考えたことはありませんでした」


「中学生の頃は友人と描いた絵や漫画を見せ合っていて、それが本当に楽しくてイラストレーターや漫画家になれたらいいのになあと思ったり、高校生になると部活が忙しくて絵を描く暇がなく、だけど創作をするのが好きなのは変わらなかったので小説やアニメーションが作れればいいのにと思ったり、いろんなことに憧れがありましたが実力的にも現実的ではないことが自分でもわかっていたので、こうなれたらいいのになあという妄想だけで本気でなろうとは思っていなかったのですが、大学に入った時に多忙な高校生活の反動で、また中学生の頃のような自分の作品を見せたり人の作品を見たりできる環境がほしいなと思い、創作系のサークルに入り友人たちの創作熱意に影響され、本格的にSNSで作品を発表したりコミティアなどのイベントに参加するようになり、気づけばお仕事として描かせていただいています…大学は美術と全く関係のない大学でしたが、この大学でサークルの友人と創作活動をしていなかったら今私は絵を仕事にしていないと思っています…本当に不思議な縁です」


「ただ、美術系の学校に通わなかったことで絵に関する基礎が抜けていると自覚しており、自分に足りていないと思う分野を本を読んだり動画サイトで学んだり、絵を仕事にしている今もなお修行中の日々です…」



――これまでに参加した商業プロジェクト、及びビジネス活動歴について教えてください。


「KADOKAWAさまより画集2冊(『この魔法は美しく儚き君へ』『杖よ、もしも明日がくるなら』)と香水のプロデュースやネイルシールセットも作っていただきました。最近はロリータブランドの「Royal Princess Alice」さまとも多くコラボさせていただいております…!」


「版権では「ツキウタ。」さまや「にじさんじ」さまでグッズ用のモチーフイラストをお手伝いさせていただきました。アニメイトさま主催で原宿でコラボカフェをしていただいたのは良い思い出です…!」


――日常に溢れているアイテムがキラキラしていて、特別感を感じる素敵なデザインの作品たちが印象に残っています。創作をする上でのテーマや世界観はなんでしょうか?


「現実では不可能な組み合わせやデザインを表現できるのが絵の良いところだと思っており、とりわけ明らかに絵だとわかるけれど、現実に存在するかのような説得力がある(写実的という意味ではありません)ようなスタイルを好む傾向にあります」


「なのでデザインを組む時に現実的なこと(実際にあったら使いづらい、この飾りはここに付けるには大きすぎるなど)はなるべく考えないようにする一方で、塗りはアイテムの現実世界での特徴を少し誇張するようにしています。絵に対して「キラキラ」と仰っていただくことが多いものの、意識しているわけではなく気づいたらそうなってしまっているというのが実際のところなのですが、よくデザインに取り入れる金属や宝石、ガラスなどは光の表現が重要なモチーフだと思っておりそれを誇張して塗っているからキラキラな印象になっているのかなと思っております」



「世界観については、活動を始めたての頃はその不可能な組み合わせを大きく「魔法」とくくっていましたが、最近はその魔法の国とはどういうところなのかとか、そこにはどういう魔法使いがいてどういうお店があってどんなアイテムを使うのか、といったもう少し細かいところを詰めて、その断片的なものを絵や展示に散りばめるようにしています。それらの創作設定は自分の中ではある程度詳細に決めてあるのですがそれを知ってほしいとか理解してほしいというわけではなく(というのも、どんな物事も100%完全に理解してもらえるなんてあり得ないので)、その時その時で絵と言葉(お話)の組み合わせを感覚的に楽しんでもらえたらいいなと思っていて、その部分だけは創作設定が大まかだった昔からあまり変わっていません」



「またキラキラの話に不随するのですが、よくご感想でいただく魔法少女的な可愛さはあまり意識しているわけではなく、どちらかといえば、ちょっと不思議とかちょっとシュールとかそういう感じを目指したいなと思っているのですが、「可愛い」という感覚とは不思議なもので、飾り気のないシンプルなものだったりホラーなものでも「可愛い」とされたりするのを見るとその感覚の持つ可能性に興味があります。自分が「可愛い」という言葉を使う時は大抵「いい!」の意味で、やはり自分自身もかなり広い意味で感覚的に使っているので、どこまでが自分にとっての「可愛い」になるのかというのは絵を描きながら日々探っています」


――絵を描くとき、モチーフや色彩のインスピレーションはどのようなとこから受けているのでしょうか?


「食いしん坊で申し訳ないのですが私は食べることが大好きでして(笑)普段目に入るもので食べ物ではないものでも「美味しそうだなあ」と思うことはよくあるのですが、そういったものの特徴として、つやつやしている、色が鮮やか、やわらかそうなど、もしかして自分の絵はそこにルーツがあるのではと最近気づきました…(つやつや感は宝石などを塗る時にやりがちですし、私の絵は大体パステル~ポップな感じの色ですし、リボンとか雲などのやわらかい感じのモチーフは大好きです…)」



「硬いもの(金属などの装飾)も、食べたらチョコレートみたいな食感かもしれないなと思っているので、自分が食べたいと思うか、食べた時の食感などが想像できるかなどが無意識のうちに絵を描く時のモチーフ選びや色彩の選択に反映されているような気がしています…。以前、食べ物の絵ではないのに「美味しそうですね!」とご感想いただいた時は本当に嬉しかったです!」


――Spinさんといえば、2023年7月に個展「今日は月を食べる夜」を東京・大阪の2拠点で開催されていましたね。


「東京の個展の際はインタビューいただき誠にありがとうございました…!自粛期間になる前は毎年開催していた個展も数年開催できなくなり、今年こそやるぞ…!と意気込み、いつもは東京のみだったのですが大阪でも開催することができました…!」



「コミティアなどのイベントにも参加しなくなり、見てくださる方にお会いできる機会がなかったので、本当にたくさんの刺激を受けることができました。東京個展では、以前の個展も行ったよという方がとても多く、その方々も進学されたり就職されたりご結婚されたり…時の流れを感じると共に、まだ見てくださっているということが身に染みて本当に嬉しかったです」


「大阪の方は初めての東京外での開催ということで、新幹線に乗るところから既に心臓バクバクだったのですが、来てくれて嬉しいとお声をいただけて、頑張って来て本当によかったと思いました。ただやはり来てくださった方に色々とご迷惑をおかけする場面が多かったため、反省点を踏まえ同年12月にテーマ展示として小さな展示会を行いました。またそこでの反省点は次回の展示に活かしたいと思います。活動としてやはりどうしても個展は続けていきたいので、色々試行錯誤を重ねつつ、より快適に展示を見れるよう運営方法の見直しも仕事の一環として身を引き締めていきたいと思った昨年でした…!お越しいただきました方々、あらためて本当にありがとうございました!」


――話は変わりますが、現在に至るまでご自身の嗜好に影響を与えた作品や好きなジャンルをお聞かせください。


「直接絵にその影響が出ているかと言えばそんなこともないのですが、自分の世界観を形成する上で根本にあったものはなんだろうと考えた時に、おそらくシュールとコメディだったのではないかなと思っています」


「学生時代にあるシュールレアリスムの映画監督のその不思議でちょっと不気味な世界に圧倒され、その後イラストレーションの世界を目にした時も、シュールで不思議な作品を好んで見る傾向がありました(イラストレーションの場合はそれに追加でポップなイメージがあったらなお好き!という感じだったので、そのあたりは今にも影響が出ているかなと思っています)」


「思い返せば小学生時代に狂ったように遊んでいた唯一のゲームは「どうぶつの森」だったのですが、あのゲームの特に好きだったのは可愛いの合間にちょっと不思議な要素があったところで、海に流れ着いたメッセージボトルの中に誰が書いたかわからない手紙が入っていたり、住民が「誰かの日記を拾ったから一緒に読もう」と言うので中を見ると持ち主不明の日記を少し読めたり…占い師に占ってもらう時に読まれるカードのシュールな小話が好きで、見たことないカードが出る度に全文をノートに書いてはたまにめくって楽しんでいました」



「コメディについて言うと、学生時代に集めていたのはほぼギャグマンガで、特に少女漫画誌で連載されていたギャグマンガや4コマ漫画が多かったです。可愛い絵柄で内容がギャグというギャップが好きだったのかもしれません。幼少期に見ていたアニメも、シリアスな回よりコメディな回の方が好きでした。漫画やアニメでハラハラドキドキというのはよく聞きますが、私は「現実世界も十分ハラハラドキドキなのに、一体どうして娯楽でもハラハラドキドキを…!?」という考えがおそらくあって、娯楽くらいは笑わせてほしいというのがあったからだと思います。そう考えると、シュール(不思議)もコメディも、現実逃避をしたいという意識から好んでいたのかもしれませんし、私の作品に関しても、見る方がそういう娯楽の一種として受け取ってもらえればそれで良いのではないかなと思っています」


――それではご自身が今まで描いた作品の中で1番印象深い作品は何ですか?そう感じたエピソードも併せてお聞かせください。


「「OMG!」というタイトルの、イチゴの断面がオレンジの断面になっている「人生切ってみるまで中身はわらない」という作品なのですが、当時これを描いていた頃はまだ作風が安定せず、まあ思いつくまま描いてみようと模索していた時期のもので、この作品でいわゆる「バズる」というのを人生で初めて経験し、こういうスタイルでも良いんだと、今に繋がる世界観が確立するきっかけとなった作品です」



「これをどこかで言ったか覚えていないというか、たしか言おうと思ってやめたから多分言っていないと思うので今ここで言ってみるのですが、切る対象がたとえイチゴではなくオレンジだったとしても、あの角度から切ったらああいう断面にはならないのですが気が付いておりましたか…?」


――本当ですね…!(笑)続いて今後、挑戦してみたいことはなんでしょうか?また、何か告知がありましたらぜひ。


「最近はアナログ画材に挑戦したり、アニメーションの練習をしたり、粘土をこねてみたり、ドール用の服を作ったりなど、デジタルイラスト以外のところでも自分を表現できる分野を密かに広げております…(密かに、というのは単純にまだ見せるのが恥ずかしいからです…(笑)少しずつお見せできるように頑張ります!)そういったもので得た知識などを展示をする時などに活かせたらいいなと思っています。47都道府県をまわる個展全国ツアーは人生で絶対一度やりたいです!」


「あとはもっと面白いグッズの展開や個人では難しい分野(コスメやおもちゃなど)も何か積極的にアクションできたらいいなと思っています…」



「告知に関しては、6月にカプセルトイブランドの「くるぱか」さまより曜日コスメの香水アクリルキーホルダーがガチャガチャに登場します…!楽天コレクションのオンラインくじの詳細も今後随時発表されますのでどうぞお楽しみに…!どちらもまだ展開したことのないジャンルなので、どういった感じになるか私もとても楽しみです!」


――インタビューありがとうございます! 最後にファンに一言お願いします!


「こちらこそ、インタビューの機会をいただきまして本当にありがとうございました!」


「いつも見てくださる方へ。展示などでいただくお手紙によく「あの絵に救われた」と書いてくださることがあり、その度に絵を描いていてよかったんだなと思います。だけど救われたのは私も同じで、こうしてお手紙をくださったり、展示で感想を伝えてくださったり、グッズを身に着けて見せてくださったり、SNSでお写真をシェアしてくださったり、私の目には見えないけれどひっそり応援してくださっているのももちろん含め、自分が作り出したもので誰かが楽しんでくださるということが、私が作家活動をしていて一番辛い時期に頭から離れなかった考えが部屋のドアに錠を掛けてしまった時も、鍵となってドアのそばにずっと離れずにありました。これからももっと楽しいものが作れるように頑張ります!また個展などもやるつもりですので、いつかお会いしましょう!」



 

■ライタープロフィール

ニックネーム:笹本千尋 -sasamoto chihiro-

東京都在住

ツイッター:@tiam_00 

自己紹介:2021年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後フリーでライターをしております。



 

ラ・ペオニア運営会社の株式会社ジニヤズでは、若手クリエーターたちの作品や発想、活動をインタビューを通して世界中の多くの人々に伝えることを応援しております。


多言語(日中英)翻訳と情報発信のサポート、ビジネスチャンスのクロージング斡旋も行っております。インタビューや業務提携などのご希望がある方は、お気軽に「お問い合わせ」までご連絡くださいませ。

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