• ラ・ペオニア編集部

中国BJDドールの老舗「AEDoll」「XAGADoll」の創業者:CEOの平果氏、自ら熱く語ってもらった激動の創業秘話!


■メーカープロフィール

・会社名:星之翼玩具貿易有限公司

・ブランド名:AEDoll、XAGADoll

・HP:www.aedoll.com

・公式SNS:@asleepeidolon

・住所:中国武漢

・設立:2006年







■人気商品一部


(※以下、AEDOLLの創業者・CEO平果(へいか)氏談)


────さっそくですが、まずは御社について簡単にご紹介してください


平果:「星の翼玩具貿易有限公司と申します。主にBJD人形のデザイン、開発、及び販売を行うクリエイティブ会社です。2006年に武漢にて起業しました。中国内で最初にBJD人形制作事業に関わったこのジャンルの老舗企業の一つであります。現在、弊社が製造するBJD人形は中国をメインに販売しておりますが、その他に日本、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、ヨーロッパ、アメリカ、ロシアなどの海外市場にも販売しています。


弊社のチームメンバーは全員20代で、アニメ・マンガ・ゲームが好きな若者たちです。商品企画には全員が参加できるようにしています。そしてスタッフみんなの意見とアイデアをまとめて、様々なスタイルの人形ドールを生み出しております。


弊社はドールへの愛情を込めて、ファンのお客様方にサービスを行っております。オーナー様たちからのご要望があれば、ドールのカスタマイズや個別のサービスも提供しております」


────「AEDOLL」と「XAGADOLL」、ふたつのブランド名の意味や由来を教えて下さい


平果:「はい、ご紹介します。まず弊社主力ブランドの「AEDOLL」のAEは、Asleep Eidolon、眠るエルフの意味です。そして、眠るエルフ(ドール)はあなた(ドールオーナー)の呼びかけによって、あなたのために目を覚ます、という意味を込めています。


サブブランドの「XAGADOLL」を訳しますと「黒曜石人形」になります。ドール人形たちは、宝石(黒曜石)のように輝くよう願いを込めております」

────AEDOLLは中国老舗のドールメーカーとして、いままで数多くのドールたちを世の中に送っています。こうした製品の開発において、もっとも大切にしていることを教えてください


平果:「私たちは常に(独自性があるオリジナルデザイン)となるように仕事をしています。ドール人形をより美しく、繊細で、かわいらしい形に具現化するように仕上げながら、独自の表現センスを加え、ドールたちにユニークな個性と”魂”を与えてあげます。


また、弊社のドールシリーズはストーリー性をとても大切しています。メイン商品シリーズに「エルフ詩篇」と「マーメイドメロディー」のふたつの物語があります。幻想のエルフ世界を舞台にして展開しております。


────そのふたつのシリーズのテーマを教えてください


平果:「エルフ詩篇シリーズでは幻想世界の中で、自由で理想的な生活を送っている魅力溢れるエルフたちの姿をドールを通して表現しています。


マーメイドメロディーシリーズでは、さらにロマンティックな雰囲気で表現しています。本物の人魚を手に入れることは、もちろん現実世界ではできないですが、マーメイドのドールオーナーとなることでその夢を実現できます。


弊社のドールたちを皆様のお部屋にお迎えすることで、あなたもその幻想世界の一員になれるわけです」

────エルフとマーメイドシリーズの代表作は?


平果:「代表作は間違いなく末っ子であるコーデリア(Cordelia)です。彼女は2011年9月にデビューして以来、弊社で最も人気のあるドールのひとつです。オーナーたちのコレクション要望に応え、スケールや顔表情が違う姿で、様々なバージョンを作ってきました。これまでにリリースしたものを合計すると30種類以上もありますね! 彼女は間違いなく弊社のトップ人気商品です」



────平果さんは学生時代どんなことを学んでいましたか? またBJDドール業界に進出する前は、どのようなお仕事をされていましたか? BJDとの出会いに、何かエピソードがありましたか?


平果:「私は大学では建築土木工学を専攻していました。また卒業後は、ある建築デザイン研究所で、建築ファサードデザイナーとして働きました。


子供の頃から人形が好きで、バービードール(Barbie Boll)をたくさん集めていました。BJDドールとの出会いは大学生の頃です。その頃、中国のインターネットのBBS掲示板とインスタントメッセンジャーソフトが流行り始めて自分もよく参加していました。当時は、ユーザーのプロフィール画像や署名欄にVOLKS社のSD人形の写真をよく見まして、その美しい外観に感動していました。


あれから自分はVOLKS社のSD人形に関して、様々な関連情報を集めていました。最初は自分のSNSプロフ画像をSD人形の写真にしていただけでしたけど、やがてこれだけでは満足できなくなり、自分のドールを迎えたい!と思いましたが、当時は正規の商品購入方法をなかなか見つけられませんでした。


こうした理由もあって、余暇の時間を使ってBJDのドールの自作を試みました。2005年の夏から、ドールの知識を勉強しながら、やがて開発を手掛けだしました。そして一年以上の試行錯誤を繰り返して、2006年の10月頃、ついに自分で最初のドールを生み出し、販売できるようになりました。実際に自分の手で作れるようになったら、BJDドール制作は自分が一生かけてもやり続けたいことだと決意をして、務めていた建築デザイナーの仕事を辞めて、BJDドール業界に全身全霊で進出をしました」



────専攻である建設業をあきらめて、ドール業界で起業することは、大きな勇気が必要な決断だと思います。これは「ドール愛」以外に何か理由はありましたか?


平果:「私の家族は実は建築家一族でした。父も祖父も建築業の従事者で、自分も幼い頃からこの業界に好感を持っていました。「いつか海のそばに、自分がデザインする小さな家を建てたい 」という夢をずっと抱いていました。


そして大学は建築土木工学の専攻に卒業し、その後も勢いで建築業界に入りました。だけどこの業界に入ってから初めて知ったことは、自分のような新卒建築デザイナーは、あまり自分のセンスを仕事で発揮できる機会がなく、基本的にはクライアントの指示に従わなければならなかったんです。たとえ自分と相性が悪い案件、個人の美学では納得できないデザイン案件でも、クライアントがそれを望むならやらなくてはいけないわけです。これは私の性格とは合わないので、なかなか受け入れられなかったのです。

それとは正反対に、BJDドールを作る時は、私自身の好みや美観のまま自由にデザインし創作することができます。他人の指示に従って、やりたくないことを嫌々ながらやるより、やはり自分の好みに専念し、制作には自分が主導で判断できるようにしたいと思いました。そして建築家になることを捨ててBJDドール業界に全力かけて挑んでいきました」


────ドール業界で起業してから遭遇した困難を教えてください。またそれをどうやって克服したのでしょうか?


平果:「最初の頃に一番困ったことは、やはり業界関連情報の不足です。当時インターネット上では、BJDドールの自作製造に関する情報は非常に古くて参考になりませんでした。そこで自分は日本人のドール人形造形師のホームページにアクセスして、翻訳ツールを使って情報を集めて勉強をしました。また非常にありがたかったのが、台湾の「鏡の人形」というブログです。そのブロガーも2005年頃にドール人形の自作を始めて、制作方法、プロセスに関する心得を躊躇することなく、全部ブログ上に公開していました。それは私にとって、とても重要な情報になりました。おかげで色々な制作を進められるようになりました。今でもブロガーの彼女に心から感謝をしております。


制作方法の情報不足以外にも、当時はドール制作用の材料や工具の入手も非常に難しいことでした。中国全土を探しても三、四店舗しか売っていませんでした。

また、一番辛かった経験はというと、やはり最初のドール工場での量産です。大失敗の連続でした。当時は自分のドールを工場に量産発注し、出来上がったサンプルは、とくに問題はありませんでしたけど、実際の完成品になると、ほぼ全部で品質に問題があり、商品としての納品基準を全く満たしてはいませんでした。


当時の自分はビジネスの世界ではまだ素人でした。納品する前に、いわゆる前払いで製造費の全額を工場に支払ってしまいました。その後で不良品に気がついて、慌ててその工場の担当者に連絡し、解決策を相談しようとしたところで、途中から連絡が取れなくなってしまいました。


そのショックで、私は家で一日に泣いて落ち込んでいました。だけど商品を買ってくれるお客様に商品を提供しないといけないので、友人に借金し、商品の製造を別の工場に切り替えて、なんとか注文分を

完成させました。


それ以来、商品クオリティー維持のために、製造を外注したくないと思いました。私はいつかは必ず自分の生産工場を持てるようになることに決意し、2008年末に、故郷の武漢を離れて広東省(※編注:広東省は中国のホビーグッズ製造業がもっとも繁栄している地域で、日本のホビー企業もかなり進出している)に行きました。その後数年かけて、ようやく広東で完全自社工場を開設しました。そうして、自分はドールの開発に専念したいと思い、2016年頃に造形スタジオを深センからふるさとの武漢に移転し、今は武漢の本社で仕事をしています」


────大変な苦労をされましたね。そうした困難と挑戦の支えとなったものは?


平果「創業してから数えきれないほど失敗と後悔を経験しました。幸い、自分の家族、特に両親は私のやりたいことをずっと応援してくれてとても心強い存在でした。彼らのおかげで私は様々な困難を克服して現在まで辿り着けたと思っています」


────BJDドール業界に入ってから、最も印象的なエピソードは何でしょうか?


平果:「私はBJDドールの業界に正式に入ったのは2006~2007年頃で、その時は、中国のBJDドール業界はまだ黎明期であり、業界的に明確な製品ルールや基準はありませんでした。


その時、弊社が開発したBJDドールは、腕と膝を組み立てた後、外からの支えがないと曲がってしまい、立つことができない仕様でした。解決策として、当時他の海外ドール企業の商品を参考にしてドールのひじと太ももの膝ソケットにホットメルト接着剤を塗布することで摩擦を増やし、それでドールが立つことができるようにしました。


しかしながら、当時思いつかなかったのは、ホットメルト接着剤は時間が立つと剥がれてしまう現象が発生するということです。ドールがオーナーたちに届いてからしばらく時間がかつと、ホットメルト接着剤が剥がれて立てなくなってしまうため、一部オーナーたちは、うちが販売するドールは不良品だと思い、クレームと返品要望が一気に湧いてきました。


このトラブルの対応策として、うちは製品リコールの通知を出し、ホットメルト接着剤での関節補強法を使用したすべてのドールを回収し、オーナーたちに全額返金することを約束しました。


リコール通知を出した後のオーナー様たちの反応は様々でした。返品の中には、一年ほどぐらい遊んで相当汚れたドールもありました。またドールを迎えた後で購入した付属品も全額補償しろという無理な要望もありました。

しかし、一部のオーナー様からは「すでに人形の愛着が深くなったので、返品補償はいりません。リコールは不要です。今後も応援していきます!」という、とても暖かいメッセージもありました。


そのメッセージに、私はとても感動しました。彼女たちをもう二度と失望させたくない! という気持ちで、ドールの構造と工法を改良改善しました。また返品を不要としたオーナーたちに、割引のサービスと、ホットメルト接着剤補充のメンテナンスサービスも約束しました。


今、思い出すと、もう10年以上前のことで、当時のドール人形たちのオーナー様は、みんなそれぞれ人生の次の階段に登って「大人の生活」に向かい、交流もだんだんなくなりました。少し寂しい気分ですが、あの当時、私達の困窮を理解し、協力してくれた優しさは、いつまでも心を温める思い出になっております」


────10年以上の歴史を持つのドールBJD老舗として、この十数年間に、業界にどのような変化が起こりましたか? またその変化についての感想も聞かせてください。


平果:「一番の変化は、やはりプレイヤーの年齢層の変化です。昔はドールオーナーは20代~40代社会人の方が主力でしたが、今は経済の発展とともに、10代、また10代前半の方までも、ドールに興味を示してくれて、オーナーになってくれたりしています。

そして、あくまで個人的な感覚ですが、ドール業界は次々と新ブランドが現れています。商品も以前と比べて信じられないほどの数が出回っていて、自然にドールオーナーたちにとっての選択肢もますます増加していきます。


またドール商品の開発期間も、新しい技術工法の応用によって大分短縮してきました。かつては基本ひとつの商品には約半年の時間がかかり、ようやく発売できますが、近年は各メーカーは皆、平均1〜2ヶ月に1回の新製品をリリースしていて、ファストファッションみたいな感じになってきました」


────AEDOLLとロリータ服ブランドのLilithHouseの人気商品「サイバーメイドシリーズ」のコラボをしましたね! この企画はどうやって思いつきましたのでしょうか?


平果:「2021年に、弊社は上海のWFワンダーフェスティバルに参加しました。その時に偶然、LilithHouseのブースでサイバーメイドシリーズの実物商品を見ました。この衣装デザインは、BJDドールの衣装にもとても適していると思いまして、コラボのアイデアが浮かびました。


さっそくLilithHouseの代表様に企画を提案してみました。ロリータ・ファッションの愛好家たちにはドールオーも多数いて、実はサイバーメイドのロリータを買ったユーザーからもドール衣装バージョンが欲しいという声があったと、一拍即合の勢いでコラボ企画を実行しました。


とても新鮮な経験でして、ドールオーナーたちからも好評を受けたので、今後はロリータだけではなく、若者たち向けにACGNとサブカルチャーの幅広い他企業ともコラボしたいと考えています」


────進行中のコラボ企画はありますか? また最新の開発プロジェクトも教えてください!


平果:「最近は、弊社主力ブランドのAEDOLLが、人気イラストレーターのSTAR影法師先生(@starshadowmagic)とのコラボ企画で、イギリス学園風の1/4スケールドール人形を開発しています。順調に進めればもうすぐ皆様に見せられると思います。


またサブブランドのXAGADOLLは、「星の王子さま」とのコラボ企画が進行しています。1/6スケールのドールになる予定です。ぜひお楽しみにしてください!」


────インタビュー大変お疲れ様でした。最後に日本のファンたちへのメッセージをお願い致します!


平果:「弊社は2019年に、東京で開催されたidoll展示会に招待して頂き、出展しました。とても素晴らしい経験でした。だけどあれからはコロナの影響でなかなか海外の展示会に出席できず、大変残念だと思っています。


弊社は日本マーケットをとても重視しています。公式サイトのaedoll.comも、日本のドール愛好家たちに利用しやすいよう、2021年に日本語を対応できる仕様にいたしました。近いうちに、日本のイラストレーター様とのコラボ企画も立ち上げたいと思っています。どうぞお楽しみにしてください! 今後とも弊社の商品を宜しくお願い致します」

 

AEDOLLと日本の人気イラストレーターとのコラボ企画は、LAPEONIER運営会社・ジニヤズが共同企画で現在進行しております。情報公開をぜひ楽しみにしてくださいませ!

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